雨読 野尻抱影「星三百六十五夜」 4月15日

 今日は良く降っているので雨読。4月15日の項の題は、「星のトパーズ」です。

 野尻さんは、この項で牛飼い座のアルクトゥルスを取り上げ、そのオレンジ色の輝きをトパーズ(黄玉)に譬えておられます。春の星の中でもアルクトゥルスはひときわ明るい星ですが、低い高度にあるときは赤みが増して金紅石、高度が上がるにつれて輝きが増してトパーズ、野尻さんはそれよりも横浜でみた金箔の浮いた酒をすかしてみた電灯の灯に映えた色を思い出すと述べておられます。そして最後に天文学者 山本一清さんが呼ばれたサンゴボシ(珊瑚星)の名をとりあげ、同じころに上ってくる乙女座のスピカ、日本名シンジュボシ(真珠星)の純白と対をなす良い名だと思うと記してこの小文を結ばれています。

アルクトゥルス、日本名 麦星について

2023年4月15日午後8時ごろの東の空@名古屋近郊

 この時刻のアルクトゥルスの高度は約30°です。目を少し南に振ると少し低い高度に乙女座のスピカが光ります。スピカからアルクトゥルスに視線を戻してそのまま北へ振ってゆくと北斗七星の柄の部分、すなわち大熊のしっぽにつながります。アルクトゥルスの意味はギリシャ語で大熊の番人。北斗七星を擁する大熊座についてまわる様からそう呼ばれるようです。

 アルクトゥルスの日本名で有名なのは麦星で、麦が熟れるころに輝くのがその意味するところのようです(近所の麦畑では、ようやく穂が出たところ、まだ一面の青のが原です)。個人的には、麦といえばビール(麦酒)、そしてそのダークオレンジな透明液体の色を連想してしまいます。実際、もう少しすると、アルクトゥルス(麦星)の高度もさらに増して、仕事の後の麦酒のおいしい季節となります。

乾杯。

 

追記:4月12日夕刻の金星と水星

 この日の水星の光度0等というのは夜空では明るいのですが、夕刻の薄明の中ではとらえるのは簡単ではありませんでした。以下の写真で何とかわかるでしょうか?

4月12日午後7時頃 左上の白点が宵の明星 金星
右下の白四角のなかに水星が写っているのですが・・・

上の写真の白四角部分の拡大。 二本の電線の間にポツンと見えるのが水星です。

撮影機材:EOS Kiss X9.